dept24’s diary・生田和良・大阪大学名誉教授

ウイルスの目を通して、人間社会のウイルス感染症についてつぶやきます。

われわれウイルスの眼から見ると 国産ワクチン開発に出遅れた日本はウイルスに寄り添う国なの?

 世界では国産ワクチンがない国がほとんどであるが、日本もその中のひとつ。先進国と呼ばれる多くのでは、自前でワクチンを開発し、すでに実用化にこぎつけている。または実用化の目途を立てている。

 日本は先進国のひとつであり、ワクチンメーカーや大手製薬会社はそれぞれに独自の戦略でワクチン開発に名乗りをあげている。しかし、早期の開発が見込めるところはまだ無さそうである。

 イスラエルは早くに自前の開発が無理だと判断し、ひたすら交渉を重ね、自国民のワクチンを確保することに成功している。その結果、このイスラエルが世界中で最もワクチン接種が進んだ国になり、その結果についてどんどん科学的な論文として発表し、世界中の多くの国に安心感を与える、模範的な存在となっている

 日本の場合、政府がワクチンメーカーから早期に契約を取り付ける必要があると認識しているのかどうかわからないところがある。かなり早くに3つのメーカーから必要な数のワクチンを入手できたと、胸を張っていた。しかし、いつまで経っても、なかなかスケジュールが具体化しない。どうも、きちんと書面での契約が成立していなかったのか、したたかに世界展開しているメーカー相手では、お人好しの日本へ回ってくる可能性は低そう。世界に行き渡り、だぶついてきた頃合いを見計らってそちらに回しましょう、ということか?

 それにしても、われわれウイルスからすると、日本という国は本当に楽な国なのだ。欧米の国々に比べると、アジアの国々は、新型コロナウイルスの侵入をブロックしている壁が厚いと感じている。台湾では感染者を出すのに一苦労である。徹底した対策で、われわれが入り込む隙を与えてくれない。それに比べると、日本は同じアジアの中の国なのに、だらだらと同じ対策を繰り返しているだけで、一向に改善されない。隙だらけの日本は、われわれが生き残るにはもってこいの環境だが、日本の人たちには気の毒な感じもしている。