dept24’s diary・生田和良・大阪大学名誉教授

ウイルスの目を通して、人間社会のウイルス感染症についてつぶやきます。

われわれウイルスの眼から見ると:

 いろいろな新型コロナウイルス変異株を生み出しているが、実はこれらは失敗作である。親の遺伝情報を読み間違え(コピーミスし)て、子孫に伝えてしまったものである。

 しかし、それが人間社会に大きなダメージを与える結果となり、われわれウイルス側としては子孫繁栄にマイナスに働いている(取り付いた宿主の致死率が高くなりすぎると、2002~2003年に人間社会に送り込んだSARSのように、われわれ新型コロナウイルスも人間社会から消えてしまいかねない)。

 ところで、今や従来のウイルス株か変異株かを判別する検査が、最優先事項になっているのはどうしてか?大変なマンパワーと検査代(税金?)がかかっていると思うのだが・・すでに、すべての陽性例で行き届いた隔離・治療が行えなくなっている自治体があるという。

 このような「やってますアピール」に費やしているマンパワーや予算は、そろそろ他のことに振り分ける時ではないだろうか?

 

 まず、ワクチン接種によって、新型コロナウイルスに対する抗体が作られる。そうすると、ウイルスはその抗体を躱すことができる子孫ウイルスのための遺伝情報(ゲノム)を生み出すことになる。もちろん、それらはウイルスが研究を重ねて生み出すわけではなく、ただひたすら感染を広げて子孫繁栄を繰り返す中で、たくさんのコピーミスを生み出し、その中にたまたまワクチン接種で誘導された抗体の圧力を躱す(ワクチンを効かなくする)コピーミスの子孫が存在し、それが次々と子孫繁栄を繰り返すようなことが現実に起こるかもしれないのである。

 このようなワクチンエスケープ変異を起こしたウイルス株が優勢になると、対新型コロナウイルスへの最強の武器だと確信していた、よく効くワクチンが役に立たなくなってしまう。ワクチンエスケープ変異を起こした株が優勢になると、このような株に対するワクチン株を新たに開発する必要がでてくる可能性がある。

 

 なので、現在のワクチンに対するエスケープ変異株がどのようなものになるのか?についての研究と、そのような株に対するワクチンを新たに開発することを急ぐことも重要で優先すべき事だと思うのだが・・・。