dept24’s diary・生田和良・大阪大学名誉教授

ウイルスの目を通して、人間社会のウイルス感染症についてつぶやきます。

次回の第3回かんさい感染症セミナーのご案内です

次回のセミナーは大阪梅田で、2024/2/22の13:30~16:00です。 次回は、2月22日(木曜)13:30~16:00、大阪梅田(大阪駅前第二ビル5階の梅田総合生涯学習センター第二研修室)です。 話題の感染症として、「マダニ媒介感染症」、「食中毒」、「インフルエンザ」…

第2回かんさい感染症セミナーを終えて

8月26日に、第2回かんさい感染症セミナーを、東大阪市布施駅前市民プラザ・多目的ホールで無事終えることができた。本セミナーは、一般の方々を対象に、「感染症についてやさしく解説、正しく理解」をモットーに開催している。 来場者数は31名で、その…

新型コロナの対策には『屋内の換気』に優るものなし

新型コロナの出現以来、社会の至るところでマスク着用が一般的なマナーになった。世界的にはすでに、マスクをしている人がほぼいない国が多い。日本も遅ればせながら、国としては「マスク着用の是非を管理しないので各自で判断してください」と。しかし、そ…

ひとりで運転している車の中でマスクの人を見かけるが、えっ、なんで?

マスクをいまだに多くの人がつけたままである。それも、屋外の青空の下で、それから1人で運転している車の中で、えっ、なんでマスクするの? 新型コロナを2類から5類にうつすにあたって、マスクをするかどうかは、状況に応じて、自分の判断で、つまり 「正し…

次回(8月26日(土曜))の感染症セミナーの案内です。

「かんさい感染症セミナー」は4カ月ごとに、関西のいろいろなところで開催していく予定です。 次回は、8月26日(土曜)13:00~15:00、東大阪市の布施駅前プラザの予定です。 話題の感染症として、「アニサキス」、「麻しん(はしか)」、そして気になる「空間…

感染症のセミナー開催の報告です

関西BS(バイオセイフティ―)交流会とBMSA(バイオメディカルサイエンス研究会)が共同で、話題の感染症について、正しく理解し、どうすれば予防できるのか、もし感染してしまったらどうすればいいのか、などについて、できるだけわかりやすく解説する一般の…

新型コロナの制限解除で気をつけたい感染症としての麻しん(はしか)

麻しんの原因となるウイルスが流行している国からの輸入をきっかけとして、数年ごとに日本のあちこちで麻しんの集団感染が起こることを繰り返してきている。最近では、2018年3月に沖縄県に外国人観光客が入国し、その後に発症したにもかかわらず3日間にわた…

コロナ収束に伴い人の行き来が活発化することで懸念される感染症

中国・武漢で発生した新型コロナ(COVID-19)は、すでに3年以上もこの地球上で君臨し続け、感染症の中で独り勝ちしているような存在である。しかし、その原因となる新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は、次々と変異を繰り返し、そのたび重症化するる能力が…

オミクロン株は懸念すべき対象か?

日本の新型コロナの状況は、他の国と比べて例外的に落ち着いている。多くの人が「どうして日本だけ新規感染者数が、こんなに少ない状態になったのか?」と不思議に思っている。メディアもいろいろな説を報道しているが、よく分からない説明に終始している。…

新型コロナのワクチンは基本的には重症化を予防するもので、感染予防は期待しすぎ

感染症の原因となる細菌やウイルスに感染すると、これら感染源(病原体)を異物(自分以外の物質が自分の体内に侵入してきたときに、免疫にかかわる細胞が認識)と認識し、からだから排除しようとすることが免疫細胞の働きと考えることができる。 この時、ま…

オリンピックを終えて

オリンピックがようやく終わった。私たち一般人は、「自宅でおとなしく、テレビでオリンピックを観戦すること」、一方、参加する選手や関係者は「できる限りの簡略版の規制」で乗り切った。このダブルスタンダードに対して、多くの批判が相次いだ。「無観客…

新型コロナが収まると、次に現れる感染症は?

2020東京オリパラがまもなく始まる。新型コロナの感染状況は収まるどころか、第5波が本格化しそうな勢いである。しかし、高齢者の多くはすでにワクチン接種をすませ、感染者数は増えているが、死亡者数は減っている。働き盛りの人たちが、変異株に感染したこ…

抗体カクテルが第4の新型コロナ治療薬として認定された(2021年7月19日)

抗体は、ウイルスに感染したり、ワクチン接種したりで、からだに作られる免疫反応のひとつである。特に、ウイルスが細胞に感染するのを遮断する抗体を中和抗体という。ワクチン接種の目的のひとつが、この中和抗体をあげることである。 現在、日本で進行中の…

新型コロナへの対応について思うこと!

・変異株への対策は特別なものがあるわけではなく、これまで通りである。すなわち、飛沫対策としてマスクの着用;接触感染の対策としてこまめな手洗い;それにエアロゾル感染対策として、こまめな換気である。従来の新型コロナウイルスと、さまざまな変異株…

ウイルスの眼から見た、日本の新型コロナ対策

久しぶりに、ウイルスの眼から見た、われわれの仲間、新型コロナウイルスが入り込んだ人間社会での騒ぎについての感想を述べたい。 ウイルスとは、繰り返し述べているが、頭脳を持っておらず、また足も持っていない。しかも、ヒトの手を借りなければ(もちろ…

新型コロナウイルスの感染の広がり方は、今や「感染経路不明=空気感染/エアロゾル感染」ではないか?

新型コロナウイルス感染の広がりがなかなか衰えない。このウイルスが出現し、初めのころは「人から人にはうつらない」、と中国当局もWHOも言っていた。しかし、家族内で新たな感染者が発生するなど、人から人にうつることがはっきりし、これが世界共通の認識…

ワクチンの有効率がよく分からない

ワクチンの有効率とは 新型コロナワクチンの接種が進んでいる。各自治体によって違いがあるが、65歳以上の高齢者にとっては、何が何でも、人より先に打って貰うぞ、という意気込みを感じる。しかし、国が悪いのか、地方の自治体が悪いのか、まず接種券なる…

新型コロナワクチンを接種後、どれぐらい経過すると安心か

新型コロナワクチンの有効率は95%以上と、インフルエンザワクチンに比べると、格段に良い成績であることが発表されている。これは、2回目の接種を完了した場合の成績である。 このところ、ワクチンを接種したにも関わらず、コロナに感染したとかクラスター…

これから熱中症対策が大事:マスクをはずすことも考えよう

まもなく梅雨が明け、暑い日が続くことだろう。夏になると、熱中症対策が大事だ。しかし、新型コロナ対策として、マスクはいつでもどこでも着けるのが当たりまえの社会になっている。 そもそも、新型コロナの主な感染ルートは飛沫と言われ、マスクを着けるよ…

ワクチンの効果はいつから?

ファイザー社製、モデルナ社製、それにアストラゼネカ社製の新型コロナワクチンが承認された。ファイザー社製が先行していたが、モデルナ社製のワクチンも高齢者への接種が始められた。どちらのワクチンもmRNAワクチンと呼ばれるものである。 一般に、ワクチ…

新型コロナウイルス感染の成立と感染初期の現象

ウイルスは自分で子孫ウイルスを作るための装置を持っていない。したがって、子孫ウイルスを作ってくれる宿主細胞(人間や動物など)を探す必要がある。ただ、されるがままに(例えば感染した人のくしゃみとか、外に飛び散った飛沫が浮遊しているときの風な…

新型コロナウイルスが宿主細胞に感染するときは、肺、腸管、心臓、動脈、腎臓、睾丸などに分布している細胞の表面に存在しているACE2と呼ばれる酵素活性を持つ分子(=新型コロナウイルスの受容体)に結合する。これを第一歩として感染を成立させるので、この分子が担う血圧調節などに影響が、新型コロナウイルスの感染で起こりえる。

少々複雑な話になるが、ACE2と呼ばれる、新型コロナウイルスの細胞の受容体について、簡単に説明したい。今回の話は複雑で、わかりにくいのだが、何となくでもイメージを掴んでもらいたいので、まずは最後まで読んでいただければと思う。 新型コロナウイルス…

新型コロナ対策への意見がばらばら

新型コロナ対策として、①飛沫感染対策(マスクなど)、②接触感染対策(手洗いや消毒など)、③エアロゾル感染対策(換気など: 室内で二人以上一緒にいる場合)の3つが推奨されている。 最近になって、②については、ほとんどの場合にはそれほど重要ではないといわれ…

新型コロナワクチン接種が進行中です:ファイザー社とモデルナ社の製品ですが、どちらもmRNAワクチンです。どういう原理のものなのか簡単に解説します。

医療従事者に次いで、高齢者へのワクチンが始まった。それぞれの自治体で接種が進められているワクチンはファイザー社製で、大規模接種会場で進められているワクチンはモデルナ社製のものである。どちらもよく似た仕組みのワクチンである。 新型コロナウイル…

今朝の朝日新聞から:米国の感染症対策を担う米疾病探索センター(CDC)が新型コロナについて検討した意見として「手洗いは必要だが、清掃や消毒はあまり重要ではない」と

街中で、誰か(ひょっとして新型コロナウイルスに感染した人?)の飛沫がついたドアノブやエスカレーターの手すりなどに触れた手で、目、鼻や口の粘膜に触れることで、新型コロナウイルスに感染するリスクがあるといわれ続けてきた。 しかし、その接触感染リ…

本ブログでは、ウイルスの眼を通して、人間社会の新型コロナの状況を見る

「ウイルスの眼を通して」 vs 「人の眼を通して」 ウイルスの眼を通して 人の眼を通して ウイルスは、感染した宿主細胞に子孫ウイルスの産生をお願いする立場である。まず、子孫ウイルスを作るための遺伝情報(ゲノム)を送り込む。そして、たくさんの子孫ウ…

しとしと ぽつぽつ ざーざー 「雨が降っても降らなくても、コロナでほぼ同じ過ごし方だ」

緊急事態宣言。不要不急の外出不可もぅうんざり、でもまだ延長の声が!えっ、いつまで? いつの間にか梅雨入りで、毎日雨ばかり。新型コロナウイルスの感染者数や死亡者数で、大阪は東京を上回る日が続いていた。しかし、緊急事態宣言でやっと感染者数はわず…

われわれウイルスの眼から見ると:

いろいろな新型コロナウイルス変異株を生み出しているが、実はこれらは失敗作である。親の遺伝情報を読み間違え(コピーミスし)て、子孫に伝えてしまったものである。 しかし、それが人間社会に大きなダメージを与える結果となり、われわれウイルス側として…

われわれウイルスの眼から見ると:

いろいろな新型コロナウイルス変異株が出現していることで、政府や地方自治体などの行政機関は、変異株かどうかをどの程度検査できたかをについて競争しているように見える。ところで、何のためにそんな検査が最優先事項になるの?変異株が優勢になってるこ…

われわれウイルスの眼から見ると:

新型コロナ対策が優先か?、それとも東京オリパラ開催が優先か? まあ、われわれウイルスからすれば、日本という国はどちらが優先になっても、子孫繁栄に協力的な国だと思うが 日本の、新型コロナ対策や東京オリパラ開催の是非に関する最近の話題をまとめる…