dept24’s diary・生田和良・大阪大学名誉教授

ウイルスの目を通して、人間社会のウイルス感染症についてつぶやきます。

ワクチンの効果はいつから?

 ファイザー社製、モデルナ社製、それにアストラゼネカ社製の新型コロナワクチンが承認された。ファイザー社製が先行していたが、モデルナ社製のワクチンも高齢者への接種が始められた。どちらのワクチンもmRNAワクチンと呼ばれるものである。

 

 一般に、ワクチンとは、予防法としてあらかじめ健康な人に接種をして、病気を起こす病原体による感染に備えるものである。ワクチンを接種すると、ワクチンのタイプにもよるが、今回の新型コロナワクチンのように2回の接種が必要な場合には、2回目のワクチン接種をし、その後に2週間以上経過して初めて高い有効性が認められるものである。

 一般に免疫反応が起こるまでには少なくとも2~3週間かかる。1回目のワクチンだけでも、接種後数週間の経過後にはある程度の効果は認められているが、2回目を接種し、その数週間後には十分な免疫反応が起こっており、重症化を抑えることが可能とされている。さらに、ある程度は感染することに対しても抑える効果が認められている。また、ワクチン接種後は、感染を完全に防御することは難しいが、感染しても、感染した人から放出されるウイルス量は抑えることが示されている。

このように、今回の新型コロナワクチンの2回接種を完了し、その後、2週間以上経過した場合には、感染を抑制し、感染したとしても人にうつしにくい状態になる。また、最も重要な恩恵はこのようなワクチン接種で、重症化する割合が明らかに低下することである。

 

 以上のように、ワクチン接種の恩恵は確実に得られると思われる。接種会場でのインタビューで「ワクチンしてもらったから、これでやっとマスクがはずせる」との声を聞くこともあるが、それほど簡単な話ではない。欧米のようにマスクが不要な社会になるには、まだ当分、様子を見なければならない。新規感染者の数が減り、それがずっと続くようになるまでは、ワクチンをしている、していないにかかわらず、★マスクの着用★こまめな手洗い★3密を避ける、など、これまでどおりの対策を続ける必要がある。また、ワクチン接種で100%感染を防げるわけではないので、大騒ぎしたり、飲み会で大声で話すなどの振る舞いは慎まなければならない。

 

 多くの人が接種を終え、ワクチン接種率が上がると、いわゆる集団免疫という状況が成立し、ほぼ安全な社会が到来すると思われる。このような状況が訪れることを信じて、いましばらくは忍の一字で、できるだけ多くの人が速やかに2回のワクチン接種が完了することを期待している。