緊急事態宣言の延長、ホンマ「やる気が出な~い」
ーーウイルスの眼から見れば、人間のやっていることはわれらの思うつぼやーー
大阪はどうなっているのだろうか?自粛自粛で、「おうちで何かすることを見つけて、外に出かけないことが偉い」、って感じの社会になってしまった。 連休も明け、「もういい加減にしてよ、そろそろ感染者も減る頃では?」と思っていたら、何のことはない、 ほとんど変わらず、緊急事態宣言が延長になってしまった。 今回の緊急事態宣言期間が3週間弱と聞いて、「最初の緊急事態宣言の時より短いのなら、 まあしょうがないな」と思っていたのに、 そのまま延期となってしまった。行政側の、 一般の人の意識を逸らすテクニックばかりが上達し、 対新型コロナ戦略が実って、感染者数はもちろん、 死亡者数も確実に減ってきた、と言えるような状況にはほど遠い。 オンライン帰省にオンライン飲み会などなど、ほんとうに「やる気がでな~い」というのが本音というところだろう。 先進国のひとつに数えられ、G7メンバーでもあるわが日本。にも関わらず、新型コロナ対策として最重要課題のワクチン接種率が途上国並みか、 恐らくそれ以下の状況に甘んじているのはなぜなんだろう。 高齢者へのワクチン接種の遅れどころか、予約で大混乱。それについて、ワクチン担当の河野大臣が「 僕が間違っていました」と謝ったところ、評価が一気に上昇。 確かに、多くの行政関係者で、まず謝るような人はいないので、 びっくりした人が多かったようである。 いつも、「一丸となって。緊張感をもって」と言う割には縦割りのまま事を運んでいることが、一番の 問題ではないだろうか。一日もはやく、コロナ前の生活を取り戻し、やる気満々の日々を送りたいものだと思う今日この頃である。
今週のお題「やる気が出ない」
われわれウイルスの眼から見ると:
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屋外にいるのに、どうして皆さんマスクをつけているの?
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ひとりで車を運転しているときでもマスクをしていて笑ったわ
新型コロナウイルスに感染する感染ルートは、飛沫感染、接触感染、そしてエアロゾル(マイクロ飛沫)感染である。
特に、飛沫感染予防のために皆さんマスクをしていると思う。でも、屋外にいるときに、周辺のどの人とも、2メートル以上離れている場合には、マスクをつけている必要はないと思う。感染した人が1メートル先にいる場合は、マスクは必須である(図左)が、2メートル以上離れている場合には飛沫は届かないので不要である(図右)。エアロゾルという、小さな飛沫(マイクロ飛沫ともいう)であっても浮遊し、屋外では上空に飛散し、2メートル先にいる人に届く可能性は低い(図右)。
ひとりで車を運転しているときも、ほとんどの人がマスクをしている。これは明らかにマスクをつけている意味が無い状況だと思う。
このような状況の場合には、思い切ってマスクをはずしませんか?
高齢者にとって常にマスクをつけていることは、息がしづらくて結構なストレス。でも、やっぱり周りの眼が気になって、仕方なくつけているのかな?
コロナウイルス出現からそろそろ1年半。「以前〇〇しないといけませんと言いましたが、〇〇する必要はないことが明らかになったので、もうしなくてもいいです」と周知することなく、「してはいけないこと」がどんどん積み重ねられている。もう世の中、すごく圧迫感があり、精神的に参っている人が増えているという。
多くの研究や実験などの結果、不要になったと考えられることは、積極的に発信してほしい。「××はもう神経質に考える必要がありません」「▲▲は、不要です」などと。
マスクの付け方が大事
マスクのつけ方が、新型コロナウイルスをうつす、もしくはうつされる割合を大きく左右する
感染した人と感染していない人が一緒に2~3時間いると、うつす又はうつされる割合はマスクのつけ方で左右される
新型コロナウイルスに感染する感染ルートは、飛沫感染、接触感染、そしてエアロゾル(マイクロ飛沫)感染(対策は「3密」=密閉・密集・密接を避ける)がある。
これらの感染ルートを避ける手段としてマスクがある。しかし、マスクのつけ方でその効果が大きく異なってくる。
飛沫には大きな飛沫から小さな飛沫(エアロゾルとかマイクロ飛沫と呼ばれる)が存在し、大きな飛沫は1~2メートル離れると周辺の人に吸われる可能性は減少する。
ところが、小さな飛沫は空気中に浮遊し、2~3時間も空気中を漂いながらウイルスの感染性を保っている。
したがって、感染した人がマスクを正しくつけて、大きな飛沫や小さな飛沫をできるだけ外に放出しないことが大事である。また、周辺にいる、感染していない人がマスクを正しくつけて、できるだけ感染した人からの大きな飛沫や小さな飛沫を吸い込まないことが大事である。
正しいマスクのつけ方は、マスク(できれば不織布製)を鼻や頬をきっちりカバーした形につけることである。マスク上部のノーズワイヤーをきっちりと鼻の形に合わせて空気が出入りするのを最小限にする。また、両端が両頬に密着していることを確認することである。
顎マスクは全くマスクをしている意味がない。鼻出しマスクも、鼻から出される飛沫やエアロゾルの出入りを許してしまうので、マスクの効果があまり期待できない。顎出しマスクは、口から出される飛沫などを飛散させる可能性が大きい。
マスク装着時には、以上の点を常に意識することが重要である。
また、マスクの表面は、感染した人が周辺にいる場合には、そのような人からの飛沫がたくさんついていると考えられる。したがって、一旦マスクをつけたあとの着脱は耳にかかる紐の部分をもって行い、「マスクの表面は絶対に触らない」と、常に意識していることが求められる。
特に、高齢者は聞き取りが悪くなり、会話中に近寄って話しがちになる。このような状況では、たとえ戸外であっても、正しいマスクの装着が求められる。
換気が悪い部屋に一緒にいるとマスクを付けていてもうつる可能性がある
マスクをつけていても、会話や呼吸でも、小さな飛沫(エアロゾルとかマイクロ飛沫と呼ばれる)を放出しており、感染した人と感染していない人が一緒に2~3時間いると、うつす又はうつされる可能性がある
室内で新型コロナウイルスに感染する場合の感染ルートのひとつにエアロゾル(マイクロ飛沫)感染(対策は「3密」=密閉・密集・密接を避ける)がある。
これから夏に向かい、室内をエアコンで冷やしながら、仕事・家族団らん・観劇などの時間が増えてくるだろう。
そのエアコンには大きく二種類ある。現状、ほとんどは循環式で、室内の空気を冷房もしくは暖房しながら送風する方式であるが、これでは「密」を避けることが難しい。この室内の「密」の状態を避けるには、換気機能付きエアコンが望ましい。新しい空気(夏は暑く、冬は冷たい空気)を取り込んで冷暖房するため、大変効率が悪いエアコンではある。一方の循環式エアコンでも、こまめな換気(対角線上の窓やドアを開ける)をすれば、「密」を避けることが可能である。
これまでの習慣で、ついつい部屋を閉め切ってエアコンを使ってしまうだろうが、換気ができていないということを意識して、積極的に換気しよう。換気して密を避けることで、感染させる、感染させられる可能性が、少しでも低くなるように意識しながら過ごすことが大事である。
部屋に一緒にいる時は換気・空調が大事
マスクをつけていても、会話や呼吸でも、小さな飛沫(エアロゾルとかマイクロ飛沫と呼ばれる)を放出しており、感染した人と一緒に2~3時間を共有すると、うつる又はうつされる可能性がある
室内で新型コロナウイルスに感染する、感染させるのは、飛沫感染(対策はマスク)、接触感染(対策はアルコール消毒やこまめな手洗い)だけではなく、エアロゾル(マイクロ飛沫)感染(対策は「3密」=密閉・密集・密接を避ける)も考えられる。
マスクをしているので、普通の会話なら大丈夫と思いがちであるが、人は咳やくしゃみをするときだけではなく、普通の声で会話をしているときにも大小さまざまなサイズの飛沫を飛散させている。さらに、同じ室内で黙って座っていても、お互いの呼気の中には小さな飛沫がわずかにではあるが存在する。したがって、相手の呼気中の小さな飛沫を、双方で吸い込んでいる。
密閉状態の部屋(3密条件下)に感染した人がいると、周辺の人を感染させる可能性のある、ウイルス粒子を含むエアロゾルの量がどんどん多くなってくる。ましてや、飲食店などでアルコールを飲みながらの時間を共有する際は、会話も大きな声になりやすく、したがって飛沫の量も加速的に増えていく。部屋の大きさにもよるが、エアロゾルの密度が高くなると、「うつしやすい状況」とともに「うつされやすい状況」の中にいるとの自覚を持つべきである。
マスクをつけていても、会話でうつる又はうつされる可能性がある:
新型コロナウイルス感染は飛沫や接触だけではなくエアロゾル(マイクロ飛沫)感染ルートがあるので、”会話時間”や”密環境”に注意
新型コロナウイルスに感染する、感染させるのは、飛沫感染(対策はマスク)、接触感染(対策はアルコール消毒やこまめな手洗い)だけではなく、エアロゾル(マイクロ飛沫)感染(対策は「3密」=密閉・密集・密接を避ける)が大きい。このエアロゾル感染は世界保健機関(WHO)も重要視している感染ルートである。特に、「こまめな換気」や「CO2センサーで測定して、密の度合いを数値化し、窓を開けるなど密を避けることの必要性」が叫ばれている。
人が話しているときは、いろいろなサイズの飛沫を飛ばしている(飛沫の量は個人差が大きく、量が多い人はスーパースプレッダーと呼ばれ、多くの人にうつす可能性が大きい)。会話をせずに、黙っていても呼吸はしているので、その呼気の中には多少のエアロゾルが含まれている。したがって、新型コロナウイルスに感染していた人は、多少のウイルス粒子を含むエアロゾルを放出していると考えられる。
大きな飛沫は1~2メートル先くらいまでで落下するので、ある程度の距離をとって会話し、しかもマスクをつけていると、飛沫感染は避けることができる。しかし、小さな飛沫(エアロゾルとかマイクロ飛沫と呼ばれている)は落下しにくく、空気中に浮遊し、やがて乾燥状態になると、3時間前後のあいだはウイルスの感染性を維持することが科学的に確認されている。
密閉状態の部屋(3密条件下)で会話していると、感染させられるウイルス粒子を含むエアロゾルの量がどんどん多くなる。会話している人数や会話している時間、また会話している部屋の大きさにもよるが、エアロゾルの密度が高くなると、「うつしやすい状況」とともに「うつされやすい状況」の中にいるとの自覚が大事と考えられる。
この”3密”の状態を解決方法がある。
どの程度の”密状態”になっているのかを、ある程度数値化できる装置がある。CO2センサー(二酸化炭素の測定器)と呼ばれているもので、人が吐く息(呼気)の中にはCO2(二酸化炭素)が含まれているので、この量を測定して数値化(ppmで示す)すると、人が吐いた呼気の密度が判かることになる。
会話している人の数が多いほど、倍々と増えていくので早く高い値になる。
以下は、密状態を知る目安である。
ー1000ppm以下(良好な状態:屋外は400ppm)
ー1000~1500ppm(そろそろ換気の準備を)
ー1500~2000ppm(換気を)
ー2000ppm以上(すぐに、強く換気を)
1000ppmレベルを維持できれば、会話している、あるいは黙っているにかかわらず、その人数にかかわらず、また部屋の大きさにかかわらず、感染した人が周辺の人にうつしたり、感染していない人が感染した人からうつされたりする可能性は低いと考えられる。この状態を維持するためには、1000ppm以上の数値になれば、換気をする(同時に、対角線上の窓やドアを開けて、換気扇をつけると効果的)ことが必要になる。ただ、部屋の構造や窓の位置・換気扇の位置などによって、換気の状況が変わってくるので、CO2センサーを部屋の各場所において、最も密になりやすいところにCO2センサーを設置したうえで対応することが重要である。
オフィス、自宅、飲食店、デパート、博物館、美術館、パチンコ店、そのほか人が集まる至るところ、同じ状況と考えられる。接触感染と飛沫感染がほぼ解決済み(消毒・手洗いとマスクのユニバーサル化)の日本では、このエアロゾルへの対策が大きな決定打となる対策と思うのだが。
われわれウイルスの眼から見ると:
日本でもワクチン接種に向けて必死になってきているが、本当に予定通り進むのかなと疑問視している
ーーわれわれウイルスの子孫繁栄という至上命令に対しては、今のところワクチンだけが大きな障害となるのでーー
イスラエルと欧米各国からの報道にみられる通り、ワクチン接種を本気で進めた国は今や、新型コロナの出現前に近い日常に戻りつつある。
日本は、先進国の中では唯一、ワクチン接種が大きく遅れている国である。ようやく医療従事者と一部高齢者の接種が始まっている。今月初めから各地で高齢者の予約が始まり、あちこちで電話もネットも繋がらない、役所や医療機関の窓口に高齢者が押しかけ、密を生み出している状態である。
現在、進められつつあるワクチンはmRNAワクチンで、ウイルス表面にあるスパイクたんぱく質に対する免疫を誘導するものである。このワクチンの開発戦略は、従来の生ワクチンとか不活化ワクチンという、これまで積み上げられて来た戦略による産物ではなく、がん、難病や感染症などに対するワクチン開発や遺伝子治療法開発で蓄積されてきた技術をもって開発された、全く新しい概念のワクチンである。これまで人にワクチンとして用いられたことがないものであるが、予想以上に有効性が高いワクチンであることが分かった。
毎年接種する季節性インフルエンザワクチンは、ニワトリの有精卵に接種して大量に増やしたウイルス粒子を精製し、そのウイルスの脂質膜を有機溶媒で溶かし、ウイルス粒子表面のウイルスたんぱく質(ヘムアグルチニン)を精製し、ホルマリンで不活化したものである。有効性は50%前後の場合が多く、今回の新型コロナワクチンの90%以上もの成績は驚異的な数字であるといえる。
最近の話題は、新型コロナウイルスのまん延で、第4波が最悪の状況になり、1年遅れのオリパラの開催も危ぶまれる状況になっている。そのため、国としては日本全国の自治体にハッパをかけて超特急でワクチン接種を行おうとしているように思える状況である。
ところが、ここで大きな障害となっていることは、新型コロナウイルスのイギリス株、ブラジル株、南アフリカ株、またインド株など、変異株が次々と現れ、感染しやすいのではないかとか、重症化しやすいのではないかと、連日ワイドショーの格好のターゲットとなっている。しかも、そのような変異株には、「優等生のワクチンが効かないのではないか?」という懸念が繰り返しメディアで騒がれている。
でも、そんなに騒ぐほど効かないわけではない。普通は、ウイルス変異株というのは、ワクチンを接種した後に、その免疫圧力をかわすような変異株が出やすいので問題になる。今回のワクチンは、人間だけではなく、われわれウイルスにとっても初めての経験である。実際、これまでのワクチンメーカーが実施してきた治験では、変異株に対してもちゃんとした有効性は確認されているので安心である。ワクチンの接種スケジュールが緩慢で、スピード感をもってできない場合にはワクチンに大きな影響を与える変異株が生まれやすいといわれている。
既に、各ワクチンメーカーはこぞってこれまでの変異株を用いた、新たなワクチン開発を始めているということが次の話題になっている。
われわれウイルス側からみていると、本当にご苦労様という印象である。多額の投資をして、現在の変異株に対するワクチンを開発しても、すぐまた次の変異株ができるのになぁと思うのだが‥。何だか申し訳ないような気持ちになってくる。われわれウイルスは自由気ままに子孫を作り、遺伝情報のコピーをする際に、たまたま読み間違いを起こしてしまう。この読み間違いは、どの部分にでも起こる可能性がある。読み間違いを起こしたにも関わらず、しっかりと子孫のウイルスを作ることができた。その上、この子孫ウイルスは、ワクチンの圧力をかわすような変異株になっていたというだけなので、人間に対して気の毒に思っている。でも、それがわれわれには幸いして、相当長期間生き残れそうな状況になっている。すみません。