dept24’s diary・生田和良・大阪大学名誉教授

ウイルスの目を通して、人間社会のウイルス感染症についてつぶやきます。

われわれウイルスの眼から見ると 新型コロナの急拡大でまん延防止等重点措置や緊急事態宣言が出されているなかで、一年遅れの東京オリパラを何が何でも実施するという政府の姿勢は、われわれウイルスからすると大変ありがたいーー

 東京2020オリンピック(2021年7月23日~8月日)とパラリンピック(2021年8月24日~9月5日)の開催は、日本のあちこちで新型コロナウイルスの感染が拡大しているなか、難しいのではないかという意見が大半をしめている。ところが、安全を確保しながらの開催は、何ら問題ないという意見も出されている。

 

 そもそも「東京オリパラは実施することが決められた事項」と言わんばかりで、全国から看護師を500名ほど募りたい、しかもボランティアでということまで言われ始めている。看護師の皆さんは、この募集をどのように受け止めておられるのでしょうか?

 

 開催するが、無観客にするかどうかの決定は6月に先送りされた。新型コロナ発生以来、計画的に、安全な形で実施できるよう、ありとあらゆる対策を実施してしておくべきであった。国民が納得する状況を作り出すのが、オリンピック組織委員会はじめオリンピック担当大臣、東京都知事らの役割のはずである。

 今日は2021年4月29日、オリンピック開催まで3カ月を切っている。唯一の頼れるコロナ拡大への改善策は、ワクチン接種率を上げることであったが、蓋を開けてみれば、医療従事者への接種すら、思うようには進んでいない状況である。最近になってやっとある程度のワクチン数が送られてきているが、今度は、ワクチン接種をどのように実施するのかが、きっちりと決められていないのが現状である。

 

 このように、なにもかもが後手後手の状態で、本当にどうなっているのかと思わざるを得ない。本来国民を守るべきはずの政治家たちは、国民や日本の将来を考えることを完璧なまでに忘れてしまい、だれもかれも自己防衛のみを第一に考えて日々行動しているとしか思えない。

 

 われわれウイルス側からすれば、日本という国は本当にやりやすい国である。ウイルスに寄り添った考え方である。われわれの第一の目的である子孫繁栄を容易に可能にしてくれる優しい国である。